
スタートアップの初期フェーズでは、何もかもが未完成です。
プロダクトもチームも制度も、まだ整っていない。
それでも、不思議と惹きつけられる会社があります。
仲間が集まり、顧客がつき、周囲から信頼される。
その違いを生むのは、「なぜこれをやるのか?」というパーパス(目的)と、その問題に向き合う姿勢の温度感です。
カルチャーは「言語」でも「空気」でもなく、“姿勢”から始まる
カルチャーは、何となく共有される空気感でも、洗練されたバリューの言語化でもありません。
「この問題を、本気で解決したい」と思っている人たちの“姿勢”から始まります。
- プロダクトが未完成でも、今できることに全力を注ぐ
- 顧客の声に耳を傾け、泥臭く対話を重ねる
- 複雑な課題に対して、諦めずに向き合い続ける
──そんな人たちが揃っていると、自然と同じ温度感と方向性を持った文化が生まれます。
つまり、初期のカルチャーとは、「この課題にどれだけ本気で向き合っているか」の揃い方。
そこにブレがなければ、言葉にしなくても“文化”はにじみ出ます。
パーパスは、姿勢を揃える“芯”になる
なぜこの課題に取り組むのか?
なぜいま、自分たちがやるのか?
この「なぜ」に明確な答えを持つことが、メンバーの行動に一貫性を生みます。
パーパスがあることで、目先の変化やノイズに揺れなくなる。
意思決定、プロダクトの優先順位、チーム内の会話──
あらゆる判断の背後に「自分たちはこれを解決するために集まっている」という軸があると、速く、強く、迷いなく進むことができます。
Founder Sales は、パーパスを伝える最初のチャンネル
創業初期において、最も信頼をつくる手段は、創業者自身が顧客に直接届ける「Founder Sales」です。
このとき相手が見ているのは、プロダクトの完成度ではなく、**「この人たちは本当にこの課題を解決したいと思っているか」**です。
- 課題の深さを理解しているか
- 解決するための仮説に腹落ちしているか
- その熱意が本物か
この3つが伝わると、プロダクトが未完成でも「信頼して一緒に進んでみよう」と思ってもらえる。
パーパスに根ざした語りは、相手の頭ではなく“感覚”に届く営業です。
採用も、パーパスと姿勢で引き寄せる
制度もオフィスも、福利厚生も整っていない。
でも「一緒にやりたい」と思ってもらえる会社は確かに存在します。
それは、創業者の語るパーパスと、そこに向かう姿勢に共感が集まっているからです。
- 「この課題、自分もずっと気になっていた」
- 「このチームの真剣さ、信用できる」
- 「何も整っていない分、ここには本物の熱がある」
──そんなふうに、人が人に惹かれてジョインする。
そうして集まった人たちは、言われなくても価値観が揃っていることが多いです。
プロダクトの優先順位にも、目的と姿勢が表れる
どのユーザーの声に応えるか。
どの機能から作るか。
どの課題は“今じゃない”と切り捨てるか。
これらすべての判断は、**「自分たちが何を解決する会社か」**という目的がなければ、ブレます。
逆にパーパスが明確で、それに向けて本気で動いているチームなら、選択と集中ができる。
プロダクトの構造にも、実はカルチャーは宿ります。
まとめ|「なぜ、これをやるのか?」が文化の起点になる
スタートアップの初期カルチャーは、
仕組みや制度ではなく、“目的とそれに向き合う人たちの姿勢”から始まります。
- 課題に対して、どれだけ本気か
- その本気さが、どれだけ日々の行動に現れているか
- そして、それがチームで共有されているか
この3つが揃えば、言語化されていなくても、文化は自然と生まれます。
そしてその文化は、やがて採用にも、営業にも、プロダクトにも滲み出ていきます。